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息が詰まるとはこのような状況に使う事だと確信出来る。
空間を歪める程の魔力、これは争奪戦と言う優しい言い方では表せない。これは一種の戦争と同じなのだ。
核兵器を超える破壊力の魔法、どんな最高の名に相応しい城壁をも斬り裂く刃、それが今の世界。
「………来ますっ!!?」
風が吹いた。
瞬間、視界に現れる全ての物は凶器だった。
それは数える事が出来ない数の魔力弾と刃の嵐、それを彩子、春澪、フレイヤ、澪都の四人で防御魔法を使い、防いだ。
そして、その人影は現れた。
「雪野と………凛。」
頭の中が混乱している。
目の前に居るのは確かに雪野と凛なのだ。
だが、いつものような気を感じない。あるのは殺気と闘気が入り交じった物だけだ。
「………参ります。」
「………行くぞ。」
それが危険な事は一目で判断出来た。あれは本人では無い。完全なコピーで作り出したモノなのだ。それでも相手を倒すと言う一つの命令で動いている機械でしかない。
「彩子、春澪、フレイヤ………下がっていてくれないか?アレを壊せるのは俺だけみたいだ。」
澪都は足を踏ん張る。そうしなければアイツ等の威圧感だけで押し潰されるくらいになるからだ。
澪都は手加減をする事は出来ない。それよりも全力で戦わなければ一瞬で血祭りにされる。
だから………。
「生成、開始。」
『DEUS_EX_MACHINA.』
―――主は閉じた世界の神の如く―――
『By_The_Holy_Rood…』
―――魔女狩りは炎と共に―――
『Welcome_to_Tomorrow.Beast_Body,Human_Heart.』
―――終わりの夜に終止符を打つ―――
全身全霊を込めて発動させる澪都の世界、武器となる物を生成し、保存し、いつでも使えるように設定してある。
世界を開放すると言う事は戦わなければならないと言う事。
外見は同じでも、アレは危険なのだ。だから、澪都は今一度、皆を守る為だけに戦う。
「SET ETERNITY BRAKE WORLD!!?(全てを破壊せし永久なる世界)」
だから、禁じられた術も使う。
周りを焔が包む。その世界は全てが壊れている。
法則も、世界も、時間も、正常な物など何一つ存在しない世界、でも壊れていない物は澪都の身体だけ、しかし、この空間によって澪都も壊れてしまう。
それでも大丈夫だと信じて、刃を握り足を踏み出した。
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