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相手の強さは本人、もしくはそれ以上だった。
本人達が力をセーブしていた場合、本気で来る。
でも、この世界まで造り出したのに負ける訳にはいかない。
誰かは分からないが、派手なパーティーを邪魔した輩は許す事が出来ない。
「連続生成、リミッター解除。俺が生み出すのは全てを破壊する伝説の武器。」
指をパチンッと鳴らすと同時に澪都の世界が動き出す。上空から現れる無数の武器を雪野と凛は弾いていく。その身体に澪都の刃が触れる事は無い。
翳す右腕が軋む。血が一気に逆流し、澪都の身体を内側から破壊していく。
「あ゙っ………があ゙あ゙ぁっ!!?」
右腕が破壊されていく。これ以上の生成は危険と判断し、紅龍を掴むと雪野達に突進した。
だが、甘かった。
アイツ等は強力な殺戮人形だ。澪都の事など分かる筈も無く、私情を挟む事も無い。
「………アルテミス。」
「穿つ事、槍の如く。」
目の前に見えたのは二つの白銀の光、それを全意識を回避に回して、何とかして避けたのだが、向こうにはその次の一手がある。
「………ロンギヌス。」
「避けれぬ事、雷の如く。」
雪野は生成魔法を、凛は目にも止まらぬ雷撃を………。
避ける事は出来ない。先程の回避に全意識を回したせいで、二つ目を回避する事が出来なかった。
避けれぬならば相殺、もしくは軌道をズラすだけでも構わない。
「生成、開始。」
確かに雪野は生成魔法を使った。だが、生成魔法ならば雪野にも対等に戦える自信が澪都にはある。
造り出す物は同じロンギヌス、そして凛には………。
「………動かざる事、山の如し。」
紅龍と凛の薙刀がぶつかり合う。それだけでもかなりの衝撃で、少しずつ澪都の身体を壊し続けている。
「限界が近いな。早く、カタを付けない、と………。」
足を上手く踏ん張らせる事が出来ない。少しでも気を抜いてしまえば倒れてしまうくらいの重傷。大量の血も失っている。残された時間も少ない。戦力的にはこちらが圧倒的に不利な状態、それでも奥歯を噛み締めて立ち上がる。
「俺の全魔力を使い、禁術を発動させる。マスター、お許しを………俺は禁忌を破ります。」
途端、世界は朱に染まった。
全てを捨てて、引き返す事の出来ない背中を残しながら戦場を翔ける。
「うおおおおあああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!!!??」
命を燃やす咆哮、だが、誰もが諦めた中、その人物は現れた。
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