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「澪都様………。」
「………水臭いな。一人で楽しんでいるとは。」
その言葉は良く知っている声だった。振り返る刹那、ダミーの雪野と凛の攻撃が澪都を襲う。
「っ!!?」
瞬間、澪都は瞼を閉じた。確実に死を確信したからだ。どんなに頑張ったところで二つの光を避ける事は出来ない。
しかし、いつまで経っても痛みを感じる事はなかった。
目を開けると、ダミーと同じ人物が立っていた。
魔力の感じ、心の強さ、何よりも知っている雰囲気、これらによって本人だと分かった。
「雪野、凛!?」
いつもと違う声を出してしまった。死を覚悟した前で助けられた事に。
「遅れて申し訳ありません、澪都様。」
「私達も足止めを喰らっていたのでな、少し遅れた。早く、この世界を解除しろ。」
凛に怒られるが、それは出来ない。確かに二人が来た事は助かったが、戦況は五分と五分、しかし向こうは制限無しの殺戮人形である。
ならば、その差を澪都が埋めなければ勝率は上がらない。
「それはダメだ。奴等の実力を甘く見てはいけない。二人がセーブしてきた以上の力を出す。だから俺はサポートをする。この世界ならば生成魔法をするには最適な世界だからな。」
それに二人はこちらを見ずに頷いた。
「さぁ、第二ラウンドの始まりだ!!?」
今回、澪都の任務は二人のサポート、流石の上級者と言う事もあって、ダミーの奴等は隙を見せる事はしない。
なので、澪都は二人をサポートしつつダミーに隙を作らせる事、それが勝率を上げる戦法である。
「だが………。」
右腕を見てみる。一瞬、溜め息が出た。神経も外見も回路もボロボロになっている。この世界を造り出した代償だが、右腕一本ならば気にする事は無い。
右腕を翳す事は出来ないので、今度は左手を前に突き出し、詠唱を開始する。
「生成、開始。」
『DEUS_EX_MACHINA.』
―――主は閉じた世界の神の如く―――
『By_The_Holy_Rood…』
―――魔女狩りは炎と共に―――
『Welcome_to_Tomorrow.Beast_Body,Human_Heart.』
―――終わりの夜に終止符を打つ―――
そして加えて、もう一つの詠唱を重ねる。
『PROVING GROUND OF THE MAD OVERLORD』
力を解放させる。
魔法を超越する為の禁じられた究極の魔法。
たった一度だけ使った神レベルの魔法。
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