FAIRY LAND SS

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「仁、那々樹、ちょっとこっち来い。」 澪都は満面の笑みで二人を呼んだ。それは20%の優しさと10%の疑惑と70%の確信を持って聞く。 「四日前、俺は雪野と凛に化けた偽者(ダミー)実際には精巧に相手の能力をコピーする遠隔操作型の操り人形だった。しかも水を変換させる高等技術なんだが、この技術が出来るのは一人しか居ないよなぁ。」 かなり冷ややかな瞳、それは答えを導き出した探偵が犯人の目の前で推理しているようなプレッシャーを与えている。 「それに、いつもはケチなお前等が無料で飲み食いや宴会を許すから余計に怪しい。やはり、あれはお前等の仕業か?」 だから、呆れていた。 生成と変換、コピーの魔法で造り出した精巧な偽者、しかし、知識を与えなかった事で澪都を倒すと言う張り紙を見られた事が原因だと思われる。 「わ、悪いな。澪都………。」 本気で謝っている二人にこれ以上、説教するのは可哀相だと判断した澪都は一つだけ溜め息を吐いた。 「まぁ、良いや。こっちも助かってるし、少しのんびりさせてもらうよ。」 笑いながら、宴会部屋に戻った………のは良いのだが。 「………はぁ~っ!?」 今度も溜め息が出てしまった。溜め息すると老けると言われた事がある。しかし、溜め息しなければならない時もあるな。 少しイライラしていたから、子魚も食べなければと、自問自答してから現実を見た。 「やっぱり、この部屋には入らなければ良かった………。」 宴会部屋からは『♪♪や~きゅう~す~るなら~こういう具合にしやさんせ~♪♪』などと女同士で野球拳をしていた。 「って、待て待て待て………何で全員が下着姿なんだよ!!?」 年頃の男子を刺激するような事は控えてください………と、言う前に凛と彩子に部屋へ引き込まれた。 仁と那々樹が笑いながら襖を閉めやがった。さてと、ここから逃げるにはどうすりゃ良いのかな? 冷静に判断しようとしたが、桜姉とエレナさんが一升瓶を片手にやって来た。どうやら、逃げる事は出来ないようです。 私はジャガーの群れに飛び込んでしまった事を激しく後悔した。 「さてと、やっと賞品が来た事だし、始めましょうか?」 桜姉の言葉で全員の瞳が光る。しかも澪都はエレナの作った特製の手錠で逃げる事が出来ないのだ。 「それじゃあ、トップバッターは雪野ちゃんからね!?」 激しく嫌な予感がするのは俺だけなんでしょうか?雪野の目もトロンとしていて、かなり危険な状態である。
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