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「………し、春澪!!?」
春澪は悪気がある訳では無いでだろうが、いきなりは少し恥ずかしい。
「………えへへっ。」
悪戯っぽく笑う春澪、それを見て自分の顔も赤くなっている事を確信した澪都は無意識に視線を反らした。
その………男の事情と言うものがあるので、仕方ないと言えば仕方ない事なのだ。
「ねっ、澪都さん………僕にキスして。」
急に澪都の目の前に現れると、満面の笑みで告げて来た。
「あははっ、ドンマイ。」
頭を撫でると、嬉しそうに目を細める。
その隙に澪都は脱兎の如く、旅館へと走った。
旅館に客は居ない。大きめの旅館の中で2人っきりの追いかけっこである。
「ってか、いつもと違う気がするのは俺だけか!!?春澪!!?」
「だって、そうじゃないですか!!?雪野さん達を閉じ込めたのも僕と一緒に居たいと思ったからでしょ!!?」
春澪は激しく誤解をしている。
あれは人のプライベートを覗き見ていた奴等を捕まえただけ、すぐに脱出してくるが、時間稼ぎに使った。
しかし、春澪には二人になる為の優しさ的な解釈をしている。
「だぁ~かぁ~らぁ~!!?違うって事が分からないのかよ!!?」
二人は旅館の中を走っている。
幸いにも客が居ないので二次災害が発生する事は無い。
「分からないもん!!?澪都さんは僕と一夜を共にするの!!?眠っている澪都さんを新婚妻のような起こし方をしたり、抱き枕にして寝ちゃったりしたいの!!?」
って、欲望を大声で発している春澪に女性の恥じらいは無いのだろうか?
「無くて良いもん!!?澪都さんを手に入れさえすれば後は好きに料理してやるんだから!!?」
……………脅し?
普通の男子ならば捕まって、何をされるか期待する事だが、アイツ等は限度を知らない。
SMなんかなら、蝋燭と鞭は当たり前、最悪の場合は放置プレイ。
その他ならば、血は吸われるだろうし………もう考えたくない。
背筋に寒気を感じ、捕まったらGAME OVERと言う気持ちで逃げる。
後ろからは魔力弾をマシンガン級の勢いで連続で撃ってくる春澪……………本当に怖い。
「待てぇ!?止まれぇ!?止まらないので撃ってます!!?」
………既に現在進行系?
背中からは春澪の殺気と魔力弾の嵐がダブルパンチで襲ってくる。
捕まれば、どうなるのかが分かる澪都はとにかく全力で逃げる。
それに負けじと、今度はライフル銃の散弾を撃ってくる。
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