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「……………ったく!?」
こんなに苦労しなければならないのだ、と自問自答しながら、静かに息を吐いた。
「生成、開始。」
だから、物質を造り出して防御する。
「危ないなぁ、まったく………。」
土煙の中、春澪の姿は無かった。
そして、気配を背後で感じた時には澪都の意識は春澪によって刈り取られたのだった。
「………さてっと、どんな風に料理しよっかなぁ?」
そんな言葉が聞こえた時に澪都の意識は戻った。
「……………。」
呪符による拘束。
こりゃ、全力で逃げるしかないなと悟った澪都は仕方なく最高の力を発動させる。
『DEUS_EX_MACHINA.』
―――主は閉じた世界の神の如く―――
『By_The_Holy_Rood…』
―――魔女狩りは炎と共に―――
『Welcome_to_Tomorrow.Beast_Body,Human_Heart.』
―――終わりの夜に終止符を打つ―――
『PROVING GROUND OF THE MAD OVERLORD』
詠唱は完了。
この状態から脱出するならば、本気でやるしかないと確信しているからだ。
そして、澪都は世界の名を明かした。
「ETERNITY BRAKE WORLD!!?(全てを破壊せし永久なる世界)」
発動と同時に呪符の拘束を破壊する。さらに生成も開始させる。
「アイギス!!?(全てを遮断する完全なる盾)」
造り出した盾は散弾を防御し、澪都の眼が春澪を捉える………筈だった。
「……………居ない!?」
土煙が風で掃われた時、春澪の姿も消えていたのだ。
もちろん、気配も消している。
その一瞬が命取りだった。
相手である春澪は本気である。
暗殺者の得意中の得意である隠密系の仕事を任された存在だ。
「……………捕まえました♪」
左腕に違和感、その感覚のあった左腕に視線を下ろすと、悪戯好きの子猫のような目で澪都の顔を見上げる春澪の姿があった。
左腕は拘束、澪都が造り出した世界『ETERNITY BRAKE WORLD(全てを破壊せし永久なる世界)』の効果を中和し、見事に解除した春澪。
もはや、今の澪都に逃げる手段は無く、身体は操り人形のように春澪と唇を重ねようとしていた………が。
「そうはさせません!?一人で澪都様を独占するのは良くありませんよ!!?春澪ちゃん!!?」
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