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澪都の巧みな話術により、説得に成功した。
それで万事首尾よく解決したのだ。
「だから、これで終わりだよ。それに少し、用事があるんだ。」
澪都は申し訳なさそうに三人に伝えると、女学校へ走っていった。
目的は佳苗に言わなければならない事があるからだった。
それも簡単に見つける事が出来た。佳苗は仕事をする為に理事長室に居たのだ。
伝えなければならない事、それは………。
「悪いな。今まで色々と迷惑を掛けたけど、言わなければならないからね。急で悪いんだが………。」
「………理事長をお辞めになるのですね?」
佳苗はいつもの調子で告げた。
それに戸惑う事なく、澪都も言葉を綴る。
「あぁ。じっくり考えた結論だ。俺は全てを守るのが目的だ。なら、それが出来る環境の仕事をやろうと思う。」
「澪都様らしい決断ですね。しかし、それを私に言わなくても良いのですよ。私も今年で秘書の仕事を辞めるのですから………もう、二代目の秘書の方も来ていますし。」
淡々と述べていく佳苗の言葉に澪都は少しだけ動揺した。
たくさんの人々を助ける。
10年以上も掛かって辿り着いた答え、それを実行すると言う事は前に歩き出すと言う事。
それなら、答えを出した澪都の考えを否定する事は誰にも出来ない。
「んじゃ、俺達の仕事は?」
「これで終わりです。後はこれからの理事長と秘書の方々が頑張ってくれますから。」
ファイルをパタンと閉じると、澪都へ温かい笑みを向けた。
「そうか………なら心配ないな。」
それで心の荷が下りた。
本当は理事長が出来る程、身体の調子も戻っていなかったのだ。
佳苗の言葉なら信じられる。
次の世代に任せる事が出来るのならば、また違う道を歩む事が出来る。
「これで、俺達の学校生活は終わりだな。なんかドタバタしてて苦い記憶しか思い出せないようだけど、楽しかったのは事実だな………さぁ~ってと、今回は今までお疲れ様って事で鍋パーティーでもするか!?」
「「「はい!?」」」
うん。皆、元気だ。
これで俺達の学校生活は終わったけど、これからは違う生活の始まりだな。
とにかく俺は全ての人達を助ける為に………。
雪野も凛も彩子や春澪も、様々な道を歩き出す。
それでも帰る場所は澪都の家だ。これからは、また楽しい道を歩き出す。
それにワクワクしながら、全員で澪都の家へと戻ったのだった。
《SS 澪都争奪大戦MX 終わり》
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