2つの愛してないという言葉

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なかなか彼女は帰って来なかった。 僕もさすがにさっきキスしている2人を見ていたので不安だった… やっぱり彼氏だけを選ぶのか… マイナスな事しか僕は考えられなかった。 落ち着かない気持ちを落ち着かせようと必死になっていると彼女は帰ってきた。 車から出て彼女を迎えた僕に彼女ははっきり言った 「龍二…私やっぱり龍二と別れる…ごめんなさい」 「えっ?いきなり何で?」 「私は彼氏と結婚して彼氏の子供を産んで幸せになる。 だから龍二と別れたいの…」 「いや言ってる事は分かる。 ただついさっきまでそばにいたいって言ってたのが何でいきなり変わる? 彼氏に何言われたんや?」 「何か言われたとかじゃない。 私は彼氏に龍二の事をちゃんと話せなかった… 付き合っている事も両想いだって事も。 それはきっと彼氏と離れたくないって私が思っているからだと思う。 だから私は将来幸せになれる彼氏を選ぶ…」 彼女が言っている理由が正当だと僕自身も思った。 でも僕は、きっと言ってはいけなかった事を言ってしまった。 「嫌や…離れたくない。」 自分の往生際の悪さと女々しさに腹が立ったが抑える事ができなかった。 「無理なの…もう龍二のそばにはいられない。 とにかくもう今日は帰って…」 「真由美、お前俺の事愛してるって言ってたのは嘘か? ついさっきやで?それは嘘なんか?」 僕は妻に話して引けなくなり、しがみついてしまった。 情けない自分を恨んだ… そんな僕に彼女は… 「龍二…愛してない!別れたいの!」 彼女はそう強く言った。 でもそれが嘘だということはすぐに分かるくらい顔にでていた。 ただ彼女にそこまで言わせてしまった自分が情けなくなり、別れを受け入れた。 「分かった。真由美ごめんな…」 彼女はうっすら涙を浮かべていた。
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