第1章

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グランは扉を軽く三回ノックした。 トントントン。 「なんだー?交代の時間か?」 扉の中からそう声が聞こえた。 グランとリノンは身を潜めている。 グランはすこし間をおいてノックを繰り返した。 「なんだ?入っていいぞ?」 「…すまない、鍵を下水におとした、開けてくれないか?」 ドア越しにグランが言った。 「やれやれ」と声がしたあと、 扉の向こうから足音が近くまでやって来るのがわかった。 男は扉を開いて、外にいるはずの仲間を出迎えた、しかし誰もいない。 「んん?」 と言って、マシンガンを携行しながら一歩二歩と部屋からでたところで三歩目を踏み出そうとしたその瞬間、突然口元を激しく抑えられると壁際に一気に引き寄せられた。 一瞬の出来事だった。 男が呼吸を整える間もなく、声を出すこともできず、男の背後から心臓を一発の弾丸が撃ち抜いた。 そして、間もなく男は胸から血を吹き出しながら崩れ落ちた。 グランは死体になっても数十秒間男の口元を右手で強くおさえ続けた。 絶命の瞬間を見届けるまで。 そして、男を壁際に静かに横たわらせた。 グランはすぐさま部屋へ突入していった。 リノンもそのあとに続いていく。 ふたりは敵の不意をつくことができた、罪人の部屋を写しているだろう監視カメラのモニターを観ている敵、椅子に座ってタバコを吸う敵、 グランは目があった椅子に座っている敵を撃ち、リノンはモニターを眺めていた敵を背後から後頭部を撃ち抜いた。 「クリア」 とリノンが口ずさむ。 グランはリノンの身のこなしに若干の意外性を感じつつ、一瞬あっけにとられて、リノンの顔色を伺う素振りをしたが、すぐに動き出した。 「死体を部屋の中へ入れる」 グランは部屋の外の敵を部屋の中へ引きづり込む。 「監視カメラを見ろ少女がどこかの部屋で拘束されているはずだ!」 グランとリノンはモニターを見て、少女の姿を探さした。
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