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「グラン、これは!?」と言って、リノンがひとつのモニターを指差した。
そこには、薄暗く何もない部屋に、ひとりの少女がいるのが見えた。
人目見ただけではただの布切れにしか見えない、少女は身じろぎもせず、床の上に膝を抱えて丸くなって横たわっている、黒い髪の毛が乱れて顔を隠すようにかかっていたが口元が少しだけ見えた。
「間違いない我々が探している少女だ、口を塞ぐために猿轡(さるぐつわ)をせれている!」
「39号室よ…」
グランは椅子に座っている敵に無言で歩みよっていく。
そして、男の頬を平手打ちした。
「おいお前起きろ、死んではいないはずだ急所は外してあるからな」
「うぐっ」
意識が朦朧としているのか男は頭をふらふらさせているところを、グランはさっきより強く平手打ちした。
「や、めろ」男がうめき声をあげる。
「俺は皇国の烈士だ、ここに捕らえられているブラックスペルを綴る者に用がある、どこにいる??嘘はつかないほうがいいぞ?お前の上腕動脈を撃ち抜いたここだ…」
グランは男が被弾している右肩の脇の辺りを手で強く押さえた。
「…俺は何も、知らない…」
激痛で男は顔を歪ませ、苦しそうな声をあげる。
「そうか、ほっといたら5分でお前は出血死だ」
グランはニヤリと口を細めて、男を睨み付けた。
「お前に選択の余地はない」
「……俺はただの監視役だ」
「39号室はどこにある!?言わないとこの手を離して、両手を縛ってお前を置いていってやる!言えば死なないようにしてやろう、40分程でここに皇国軍がやってくるからそれまでは助かるようにしてやる、生きたいなら39号室の正確な場所を言うんだ!」
グランは男の頭に銃をつきつけた。
「…わかった…テーブルの上に…収容所の人員配置図がある…二階の北の通路の一番奥だ…そこが39号室だ、味方がひとり見張りについている」
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