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「そう、ゲームマスターは税制というルールでゲーマーを拘束する。『やってほしい事』を優遇し、『やってほしくない事』を冷遇するためにね。
仮に君がお金を集めて台頭してきたとしよう。そうしたら、そのやり方、君の立場、何かしらを狙い撃ちして税金をかければいい。
これが『ゲームマスターに嫌われたら勝てなくなる』って言った理由だ。」
何だって!?
稼いだ金を払ってやっていると思っていた。俺が稼ぐから、公務員の給与や公共事業ができるのだと思っていた。
だが実は全く逆で、彼らにとっては税金自体の回収はどうでも良いというのか。税金はただ単に、気に食わない奴を叩くための手段だって言うのか?
「君がお金を集めたら、ゲームマスターはどうするか。君の資質を見極める。
君の存在がゲームに有用だと判断したら、そのまま放っておく。もっとゲームを盛り上げてほしいからね。
だが、君の存在がゲームにとって有害だと判断したら、あの手この手を使って君を叩き潰すだろう。今の君がどちらにあたるかって言ったら、間違いなく後者だ。」
―なんて理不尽な。
健治はそう思ったが、確かに思い当たる節があった。
企業買収で膨大な利益を上げた挙句、「風説の流布」という過去にない罪状で実刑判決を受けて凋落した話。ギャンブルの配当に高額の税金を要求された話。脱税を指摘され、何年分もの追徴課税を一括で要求された話。
あれは、ゲームマスターに嫌われたせいだったのか?じゃあ、どんなに努力しても、結局彼らに嫌われたら報われないって事か?
―結局、俺のやっている事は、無駄な事でしかない?
健治は、お釈迦様の掌の上で遊ばれているような感覚を覚えていた。
これまで抱いていた自信が音もなく崩れおちていくような錯覚を覚える。
「ゲームマスターは、何が目的なんだ?」
口の中がからからになるような感覚。健治は、声を絞り出すような思いでチャットの文字を打ち込む。
もはやゲームマスターという言葉自体、健治の思い描いていた物とは全くの別物となっていたが、健治は相手の目的を聞かずにはいられなかった。
相手の言葉を信じるなら、ゲームマスターというのは確かにこの世に居るという。だとして、じゃあ一体そいつらは何が目的なんだ。
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