第二章二話

3/3
前へ
/39ページ
次へ
 ギラッと、翡翠の瞳が出雲を睨む。 「分かってるよ。もう余計なことは話さない。だからそんな剣呑な瞳で見ないでくれ」    フン、とそっぽを向き腕組みをする翡翠に出雲は嘆息した。 「ご覧の通り翡翠は琥珀君を護る守護者みたいな存在だ。そして、君を何故か嫌っている」 「? なぜですか?」 「ハハッ。それは追々分かることさ。そんなに気になるなら本人に訊けばいいさ」    そんなこと不可能に決まっている。  彼女を一瞥すると、完全にコミュニケーションを拒絶する態度を示しているのだ。    出雲は「さて」と言い、椅子に腰を降ろす。 「私たちはとある人物を追っている」    出雲の唐突な話に、蓮也は訝しんだ。 「そいつはね、人の心に入り込むのがうまくてね、中々用心深い奴なんだ。どこにでもいて、どこにもいない存在……」 「はあ……」    どうにも要領を得ない説明で、蓮也は曖昧に返事をした。 「そして翡翠と同じ吸血鬼であり、一条愛歌を操った張本人でもある」 「――ッ!?」 「私たちはそいつを追っている。そう〝ファントム〟をね……」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加