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しかし、蓮也から愛歌に接触はしていない。
むしろコンタクトを取って接近してきたのは愛歌からだ。
もしかしたらファントムは自分を知っている者なのかもしれない。
だからこそ一条愛歌という身近な人物を操り、蓮也を殺させようとした。
……だとしたら許せない。
このまま放置するには見過ごせない。
人の心を弄(もてあそ)び、愛歌を操った報いをファントムは受けるべきだ。
奥歯をギリッと鳴らし、ファントムと同一の存在である彼女を盗み見る。
東翡翠(あずまひすい)。
東琥珀のアバターである吸血鬼は、蓮也を敵視している。
その理由も不明だ。
だが翡翠の両眼はいまも蓮也を捉え離さない。
憎しみ――ではないが、明らかに怒気を孕(はら)んだ瞳で、蓮也を見据えている。
(ええい……! 俺が一体何をやったっていうんだよっ……!)
恨みがましい瞳で蓮也は翡翠を睨んだ。
睨み合うこと数秒。
先に目を逸らしたのは蓮也が先だった。
……よりによって琥珀の容姿とあの高飛車な性格は最悪だ。
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