第二章三話

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 蓮也は何故か、年上の綺麗な人が苦手だ(翡翠は吸血鬼だから蓮也の何倍も生きているはず)。    昨晩も、『これからよろしく』と握手しようと手を差し出したら無視された挙げ句、先に帰られてしまった。    出雲は『君と琥珀君は幼馴染みなんだから仲良く協力するように』と言っていたが、こんな事で大丈夫だろうか?   それに翡翠は幼馴染みじゃない。    先行きが不安になり、蓮也は嘆息する。    チャイムが鳴り、授業が終わった。    蓮也は席を立ち、教室を出て行こうとした。    瞬間、    ブブゲェッ……!!    という異音が響いた。 「?」    何の音だ、と振り向くとクラスの女子が吐瀉物を撒き散らし、泡を吹いて倒れた。 「きゃあ――!!」    クラス中の女子の悲鳴が上がる。  倒れた女性徒を中心にして、輪状に生徒が広がっていく。    小数の男子生徒も唐突な事態に硬直していた。  遠巻きに場を静観している。  蓮也も他の男子生徒と同様、動くことが出来なかった。    ――一体何が起きたんだ?
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