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さて、と出雲は蓮也に向き合った。眼鏡の奥の瞳が怪しく輝く。
直後――
出雲は蓮也にナイフを投擲した。
「――ッ!?」
思わず蓮也は目を閉じて両腕を交錯させる。
がきん、と音がしてナイフが床に転がった。
「い……、いきなり何するんだ、アンタ!!」
「何って……、キミに起きている現象を詳しく説明しようと思っただけだよ」
蓮也の怒りを、出雲は平然と受け流す。
「それに、ほら」出雲は蓮也の背後を指差した。
「――ッ!? これって……!?」
蓮也の背後に円が現れている。
そして吹き荒れている銀の鱗粉。
銀色の粒子は、蓮也を護るように、宙に盾をつくっている。
愛歌が死んだ直後、円は消失した。その役目を果たすように。
だが今また、蓮也の危険に反応し彼女は姿を現した。
「我々はソレを〝アバター〟と呼んでいる」
「〝アバター〟?」
「死んだ魂の総称さ。人間に限らず生命には魂がある。
大半の魂は死した後、別世界に移送されるが、君の姉のケースのように、ごく希に魂が実体化し、生前親しかった生命体に取り憑くことがあるんだ。
……残念ながら君の姉である円城円は、既に故人ということだ」
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