第二章一話

3/6
前へ
/39ページ
次へ
 さて、と出雲は蓮也に向き合った。眼鏡の奥の瞳が怪しく輝く。    直後――    出雲は蓮也にナイフを投擲した。   「――ッ!?」    思わず蓮也は目を閉じて両腕を交錯させる。    がきん、と音がしてナイフが床に転がった。 「い……、いきなり何するんだ、アンタ!!」 「何って……、キミに起きている現象を詳しく説明しようと思っただけだよ」    蓮也の怒りを、出雲は平然と受け流す。 「それに、ほら」出雲は蓮也の背後を指差した。 「――ッ!? これって……!?」    蓮也の背後に円が現れている。  そして吹き荒れている銀の鱗粉。  銀色の粒子は、蓮也を護るように、宙に盾をつくっている。    愛歌が死んだ直後、円は消失した。その役目を果たすように。  だが今また、蓮也の危険に反応し彼女は姿を現した。   「我々はソレを〝アバター〟と呼んでいる」 「〝アバター〟?」 「死んだ魂の総称さ。人間に限らず生命には魂がある。  大半の魂は死した後、別世界に移送されるが、君の姉のケースのように、ごく希に魂が実体化し、生前親しかった生命体に取り憑くことがあるんだ。  ……残念ながら君の姉である円城円は、既に故人ということだ」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加