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「普通、大半の人間はアバターになったりしない。余程、この世に対して偉大な功績を残したり、多大な影響を与えたりしない限りね。円城円は普通の人間だったのかな? そしてキミも」
莫迦らしい。
自分は何の力も持たない凡庸(ぼんよう)な子供だ。
円も同様に、何の力もない。
そう答えようとすると、琥珀が「何も無いわ」と遮った。
「蓮也は普通の人間よ。幼馴染みである私がいうんだから間違いない。過去、ずっと過ごして来て、そんな兆候なかったわ」
「君が言うと何か怪しく感じるよ。特に円城蓮也がらみのことでは、ね」
出雲の穏やかな瞳が怪しく光る。
琥珀と出雲の間には見えない火花が散っているようだった。
まるで先程の血生臭い戦闘が今にも繰り広げられるようだ。
不穏な空気の中、蓮也は自らの頭部に手をかける。
「――それは、これも関係あるのか?」
黒いカツラを剥ぎ、美しい銀髪が現れる。他の人とは違う唯一の点。
琥珀は息を呑み、出雲は取り出そうとした煙草を取り落とした。
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