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第二章二話
突如、出雲の説明を琥珀が中断した。
だが違和感を感じる。
声や姿は琥珀だが、身に纏っている雰囲気が違う。
まるで別人のような印象を蓮也は受けた。
「琥珀が怯えておる。これ以上余計なコトを言わんでもらおうか」
「翡翠か……。琥珀君と代わったか」
出雲が溜息とともに、その名を言った。
蓮也はその名前を知らず「ヒスイ……?」と呟いた。
「翡翠、とは琥珀君の〝アバター〟だ。最も彼女は円城円と違って、意志も意識もあるがね」
「琥珀も俺と一緒なのか……?」
そう言った瞬間、パァンッと頬を琥珀に――否、翡翠に叩かれた。
突如襲った激しい痛みに、蓮也は目を白黒させ琥珀を凝視した。
「……主と、琥珀が同等の存在じゃと……? 自惚れるのもいい加減にせい!! この、小童がッ!!」
その双眸は真紅に染まっていた。
激怒する彼女の罵声、殺意の視線、逆鱗に蓮也は本能的な恐怖に襲われた。
――殺される。
そう思った瞬間、円が反応し銀の鱗粉(りんぷん)が巻き起こる。
蓮也に殺意を抱く全ての者を排除するという強い怒りが如実に伝わってきた。
――まど、か……?
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