第二章二話

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 背後に憑く姉を蓮也は振り向く。    相変わらずの無表情。  そこには怒りという感情は見当たらない。    円と睨み合う翡翠。    一触即発の雰囲気が漂う中、出雲が「そこまでだ」と割って入った。 「翡翠、キミは引き下がるんだ。蓮也君も動揺するな」    チッ、と舌打ちして翡翠は傲然と腕組みをした。 「彼女は君を殺したりはしない。琥珀君がそうはさせないはずだ。だから心を落ちつけるんだ。キミがしっかりしなければアバターは不用意に発動するぞ」    出雲に言われ、蓮也は深呼吸で心を落ちつける。    今もなお、苛烈な視線を向ける翡翠に、蓮也は出雲に「彼女は一体何なんですか?」と訊ねた。 「さっきも言っただろう? 翡翠は東琥珀のアバターだよ。琥珀君が『こちら側』の世界に足を踏み入れる結果となった間接的な原因。そして吸血鬼だ」    吸血、鬼……? 「吸血鬼って、あの……」    蓮也が言い淀む。    その単語は御伽話の世界だ。  誰かが作った架空の設定で、漫画や映画の世界の話だ。 「キミの言いたいことは解る。『吸血鬼なんておとぎ話の世界だ』と言いたいんだろう? だが、現実は違う。  東琥珀はアバター使いで、翡翠は吸血鬼だ。キミよりもずっと前からね」
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