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第二章十一話
「さて、と。どこから話そうか」
「始めから話して下さい」
埃っぽい資料室は簡素な椅子と机を置いてあるだけだった。
元々、紙の束を保管しておくだけの部屋。
調度が調っていないのは仕方のない事だった。
部屋のカーテンを出雲は開ける。
窓から光が差し込み、薄暗い部屋が照らされた。
「怖いな、琥珀君。雇用主を剣呑な目つきで睨まない方がいい。後々の人生で後悔するよ?」
「そんな先の事、まだ考えていません。それより何で桐ヶ崎高校に来たんですか? いつもの事務所で待機してて下さいって伝えたじゃないですか」
「ああ、聞いたよ」
それが何か? と言った態度で出雲は肩を竦めた。
琥珀は苛立つように、「じゃあ何で?」と言った。
「琥珀君――翡翠の報告だとキミのクラスでは昏睡事件が起きただろ? 翡翠の分析ではファントムの血がその子に混入していた事が判明した。――しかも極めて悪質にね」
「……悪質?」
蓮也の呟きに、出雲は首肯する。
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