0人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕たちはいま巷に拡がっているこのドラッグの被害を止めたい。その手がかりがキミだ。キミがどういった経緯でこの薬を手に入れたか教えて欲しい」
数秒の沈黙の後、竜二が口を開く。
「……て言ってもなあ、俺も美香からもらっただけだから」
「? 美香というのは、早沙希美香のことかい? 随分と親しげだね」
「あ、ああ……。俺は美香と付き合ってたんだよ」
出雲は蓮也と琥珀を一瞥する。
二人とも意外そうな表情をしていた。
「だが彼女は倒れた。その薬のせいでね」
「……そ、そうなんだよ! だ、だから俺、あんたの所に来たんだ! 話、聞いて貰いたくて……。そしたら、蓮也達が先に来てたから……。二人は美香が倒れた時、保健室に連れ添ってたし、何か知ってると思ったんだよ……そしたら――」
竜二は琥珀を恨めしそうに睨む。
「そういうことだったのか。いやぁ、すまないね。手荒なマネをしてしまって」
「……な、なぁ、先生……。俺も、俺も美香のように倒れちまうのかな……?」
不安げに竜二は出雲に尋ねる。
最初のコメントを投稿しよう!