第二章十三話

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「僕たちはいま巷に拡がっているこのドラッグの被害を止めたい。その手がかりがキミだ。キミがどういった経緯でこの薬を手に入れたか教えて欲しい」    数秒の沈黙の後、竜二が口を開く。 「……て言ってもなあ、俺も美香からもらっただけだから」 「? 美香というのは、早沙希美香のことかい? 随分と親しげだね」 「あ、ああ……。俺は美香と付き合ってたんだよ」    出雲は蓮也と琥珀を一瞥する。    二人とも意外そうな表情をしていた。 「だが彼女は倒れた。その薬のせいでね」 「……そ、そうなんだよ! だ、だから俺、あんたの所に来たんだ! 話、聞いて貰いたくて……。そしたら、蓮也達が先に来てたから……。二人は美香が倒れた時、保健室に連れ添ってたし、何か知ってると思ったんだよ……そしたら――」    竜二は琥珀を恨めしそうに睨む。 「そういうことだったのか。いやぁ、すまないね。手荒なマネをしてしまって」 「……な、なぁ、先生……。俺も、俺も美香のように倒れちまうのかな……?」  不安げに竜二は出雲に尋ねる。
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