第二章十三話

4/6
前へ
/40ページ
次へ
「それには及ばないよ。いまからその薬の摂取を止めれば、倒れる事はない。禁断症状が現れるかもしれないが、それは自身の浅慮を呪え。  それよりも、佐々木美香は『コレ』をどこで手に入れたと言っていた?」 「…………美香は、駅前で先輩にもらったって言ってた。この学校ってバイトは基本禁止だろ? だけど、やっぱり中にはバイトやってる奴もいるんだよ。美香は、そのバイト先の先輩から渡されたらしい」 「ふぅん、成程ね。そのバイト先っていうのは分かるかい?」 「いや、知らねえ……」    出雲はもう一本、ナイフを作り出して刃をちらつかせる。 「ほ、ほんとだって! 本当に知らねえんだよ! まだ付き合って日が浅かったんだっ! 知らないことの方が多かったくらいなんだよ!」    焦った竜二を見て出雲は、それもそうか、と思った。    まだ一学期が始まったばかりというのを失念していた。  しかし―― 「……昨今の高校生っていうのは、みんなこんなものなのかい? 相手のことを良く知りもせず、良く付き合えるね」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加