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膨れあがった緊張感に気付かず竜二は資料室から出て行った。
「ふぅ……」
出雲は隠していたナイフを消し、ホッと息をついた。
どうやら犬飼竜二を殺さずにすんだらしい。
さすがに話の内容を聞かれていたら、無関係の人間でも処分しなければならない。
無闇に他人に話され、妙な噂が広まるのもこの地の『管理者』は好むまい。
「いいんですか、出雲さん。犬飼を放っておいて?」
「いいさ。彼は結局の所、ほぼ無関係だ。それよりもやるべきことがある」
「早沙希美香のバイト先の知り合いってのを探るんですね」
琥珀の言葉に、出雲は首肯する。
「僕の方で場所は調査しておく。現地に行く際にはキミ達二人に頼むから、それまで目立った動きはしないでくれ。それと、念のため犬飼竜二の学校内の動向は見ててくれ。いつファントムが絡むか分からないからね」
二人は神妙に頷き、資料室を出て行った。
翌日、犬飼竜二の死体が校庭で見つかった。
目撃者は誰もいなく、首筋には奇妙な傷痕が二つあった。
まるで吸血鬼に噛まれた様な傷痕だった…………
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