第二章十四話

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 ――復讐か、円城ま……ッ!!    相手の声は最後まで続かなかった。    円の剣が、相手の生命を絶ちきった。   「ひぃっ……!!」 「?」    ガタッと物音がする方に目をやると、怯えた人間が一人、教会から逃げていった。    追跡して殺そうかと、逡巡する。 「………………」    まあいい。どうせ小物だろう。放っといても問題ない。    円は男の死体に触れる。身体はまだ生温かく、鮮やかな血が溢れ、床を紅く染め上げていく。    剣を掲げると、鱗粉が吹き荒れ、男の死体を包んだ。    死体は銀の繭となり、円は左の拳を強く握りしめる。    途端、繭は粉々に砕け散り、銀の粉雪が周囲に舞った。 「………………」    パキン、と銀の欠片を踏み砕く。    恍惚な笑みを浮かべ、円は嗤った。    これで障害を一つ排除した。 『管理者』がいなくなれば弟を脅かす存在も減る。    だが皆無ではない。  まだまだ弟の脅威は存在する。    そいつらは排除し、消去しなければならない。  円が異端だと認識した輩は残らず殲滅しなければならない。    それが『円城家』の後継者である、円城円の役目。  円城蓮也の姉である、ワタシの存在意義―― 「…………?」    ズキン、と頭が痛んだ。
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