第二章十一話

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「ああ。本当に悪質だよ。被害者――早沙希美香から検知されたのは、ファントムの血液だけじゃない。覚醒剤の成分も検出された。……この意味が分かるかい?」    蓮也は訝しむ。  出雲が何を言いたいのか分からない。 「つまりだね。ファントムの行動が人間的なんだよ。人間的。  奴は吸血鬼だ。本来なら、噛みついて自らの分泌液を相手に注入するだけでいい。なのにこの場合は違う。とても吸血鬼の行動とは思えない」 「え……? それってどういう……」 「つまり出雲さんは、ファントムの仕業だけど、人間がヤツに手を貸していると思っているわけですね」    琥珀の言葉に、出雲は「そうだね」と言った。 「もしくは、既にファントムもアバターとして活動して、宿主の知恵を拝借しているかもしれないね」 「……人間が吸血鬼に協力するなんて、そんな事あり得るのか?」    蓮也の疑問に、琥珀は顔を俯ける。
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