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第二章十二話
「よ、よぉ、蓮也……。奇遇だな……」
「竜二……! お前、何でこんな所に!?」
資料室に転んで入ってきた竜二は、ばつが悪そうに言った。
「や、俺も、そこの先生に悩みを聞いてもらおうと思ってさ。そしたら、蓮也と東が先に入ったもんだから、ついどんな話をしてるのか興味があったんだよ。わ、悪気はなかったんだぜ? ただ、気になっちまったんだよ……」
慌てて取り繕うようにまくし立てる竜二を、琥珀は締め上げた。
「お、おい!? 東!? おま、いきなり何すんだよっ!?」
竜二は蓮也に視線をよこす。
『助けてくれ』と竜二の瞳は言っていた。
「琥珀、お前急にどうしたんだよ? 竜二を離してやってくれ」
「――蓮也。彼がこの場にいた意味を考えて」
え? それはどういうことだ、と訊ねる間もなく、琥珀は竜二の制服を引き千切った。
そこからこぼれ落ちる、仄かな緑色の錠剤……。
「――これって……なんだ?」
床に落ちた錠剤を拾い上げ、蓮也は竜二に質問した。
「………………」
竜二は蓮也の質問に沈黙し、気まずそうに視線を逸らす。
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