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問いの答は、琥珀が答えてくれた。
「それは〝ファントムドラッグ〟よ。彼が作りだした悪辣な薬。……どうして貴方がそれを持っているのか、教えてもらえるかな? 犬飼竜二君?」
ミシっと琥珀の腕が軋んだ。
竜二を締め上げる腕に力が加わり、彼は苦しげに呻く。
殺す気か? と、蓮也が慌てて琥珀を止めようとすると、出雲が「あー、琥珀くん。ストップストップ」と言った。
琥珀は出雲を剣呑(けんのん)な目つきで睨む。
「そのままだと、彼、死んじゃうよ? 殺すのは殺すで構わないけど、話を聞いてからでも遅くない、と思わないかい?」
「……何甘いこと言ってるんですか? こいつはファントムの薬を持ってたんですよ。真っ黒じゃないですか」
「だから、さ。だからこそだと疑問に思わないかい? 彼がどうやってこの薬を所持するに至ったのか。その経緯を僕は知りたい所だね。
それに彼が真っ白だったらどうする? 何の関係もなく、それこそ無関係にただアイツに利用されただけの存在だったら? キミは、蓮也君の貴重な友人を一人殺すだけの畜生に成り果てる。そう思わないかい?」
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