0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………チッ」
琥珀は忌々しそうに舌打ちして、竜二を手離す。
竜二はゲホゲホっと空気を肺に送りこむために喘いだ。
「大丈夫か?」と蓮也が声をかけ手を差し出すと、竜二はその手を払い、琥珀に激怒した。
「殺す気か! 頭おかしいんじゃないのか、テメエッ!!」
竜二の怒声に琥珀は一瞥するだけだ。
その眼光の鋭さに、竜二もたじろぐ。
竜二は『東ってこんな性格なの?』と言いたげな視線を蓮也に送る。
だが蓮也としては何も言えない。コメント出来なかった。
「まあ双方とも落ちつけ。――犬飼竜二君、だったかな? キミは僕に相談があるんだろう? そんな所にいないで、ここにかけてくれたまえ」
竜二が後ずさると、琥珀がツカツカと歩いてきて、扉を閉め、出入口を塞ぐように寄りかかる。
ギョッとなり、竜二は琥珀と出雲の顔を見比べる。
その両者の顔が告げている。『逃さないぞ』と。
竜二は諦め出雲の前に座るが、狼狽しているのは明らかだった。
――竜二は何かを隠してる。ファントムにつながる何かを……。
出雲の取り調べが始まった。
最初のコメントを投稿しよう!