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第二章十三話
机上に広がるドラッグを、出雲は手にとって眺めた。
仄かな緑色をした錠剤と、眼前に座る犬飼竜二を、出雲は交互に見る。
「これはどこで手に入れたんだい?」
出雲の質問に、竜二はうな垂れるだけで答えようとしない。
そこに見え隠れする感情は、罪悪感だ。
彼の背後には琥珀――翡翠の殺気が漂ってくる。
並々ならぬプレッシャーで、蓮也がいなければ間違いなく、彼女は竜二を殺すだろう。
その気配を察してるのか、竜二は小刻みに身体を震わせている。
蓮也は事の成り行きを見守る傍観者に徹しているようだった。
――それもそうだろう。彼は何も知らない。知らされていない。自らの『家』のことを――
「これを持っている――それは即ちキミは殺されてもいいということかな?」
「え?」
穏やかな物言いだが、物騒な言葉に竜二は面を上げた。
「……どういう意味だよ?」
「そのままの意味さ。キミはこのままだと間違いなく殺される。僕、琥珀君、円城君、少なくともキミは、この三人に殺されても文句を言えない立場にあるんだよ」
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