第二章十三話

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「な――ッ!?」    ガタッと席を立ち上がろうとする――が、出雲はナイフを作り、投擲した。    ナイフは竜二の制服を貫通し、椅子に突き刺さり、彼の身動きを封じる。 「さあ、落ち着いて話そうか」    仏のような笑みを浮かべ、出雲は言った。    竜二は戦慄し、椅子に座らざるを得ない。 「竜二君。僕たちはね、『普通』の人間じゃないんだ。キミをこのまま何の痕跡もなく消す事だって可能なんだよ?」    ポンッと片手で風船が破裂するような仕草を出雲はする。 「……お、俺をここで殺すって、いうのかよ……?」 「だからこそ、だ。だからこそだよ、犬飼竜二君。僕はキミに協力してもらいたいんだよ。  ――僕は、いや、僕たちは警察の特殊組織に属している。キミが捜査に協力してくれるなら、キミのことは見逃してもいい」 「え?」    竜二が喜色を浮かべる。    琥珀と蓮也は互いに「何の話?」と顔を見合わせている。    出雲は二人に目配せをして『任せておけ』と合図を送る。
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