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プチプチと音をたてて服が肌蹴ていく
白い肌には赤い跡が無数に咲いているのが目に入る
噛み跡も所々に見て取れる
青年はそんな彼の姿は見慣れていたが、いつ見ても心が苦しくなった
目を細めて少し悲しげな表情をする
そんな姿を見て少年――時雨(しぐれ)は顔を歪めた
「ごめんね」
「……時雨」
静かに。
本当に静かに、恋人のように触れ合うだけのキスをした
ぎゅっと目を閉じた
「好きです」
「……うん」
ごめん
その言葉はキスによって吸い込まれていった
これから何をするかなんて
予想は容易だった
あえて目は閉じなかった
「全く、あなたという人は……
可愛くないですね」
悲しそうに、だけど嬉しそうに青年は笑った
青年の気持ちには答えられないとわかっていながらも、少年は身を委ねた
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