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ボスはいつにない高揚感に酔いしれながら思う。いつ以来だろうか、自分に恐れずに敵対した奴は、この街のボスになってからはいないかったように思う。
「どうだい? ピエロくん、ボクの部下になるのは、君ほどの実力者なら是非とも歓迎なんだけどな」
「お断りする」
即答した。
「私はお前のような悪の病巣を駆除するために戦っているんだ。世界の平和にためにお前を殺す、部下にはなれない」
「はっ!? 平和っ!? ハハハハハハハ、おいおい、笑わさないでくれよ。ピエロくん、この世界が平和になるわけがないだろう? それとも君はバカなのかい? 正義の味方ごっこのつもりかな? これは傑作だよ。ピエロくん」
ボスは高笑いしながら銃口を向ける。
「君のような人殺しが世界を平和になんてできるわけじゃないだろう。それは君が一番、わかっているよね。聞いているよチンピラを何人も惨殺したそうじゃかいか、それは矛盾してるよ」
男は首肯した。否定はしないらしかったけれど、
「平和を願って何が悪い? 間違っているのはお前のような存在だ。もちろん、私もそうだけれど、何も知らない子供達が笑って暮らせる世界を目指して何が悪い」
男は思う。自分はきっと地獄に落ちる、それはいい、自分は人殺しだし、人並みの幸せを得たいとは思わない。
「この世でもっとも悲しいのは、子供達が飢えていることだ。パン一個のために殺し合い、親友を裏切り涙を流す、何も知らない彼らを悪に染め上げる存在がお前が許せないんだ」
「奇麗事だ。戯れ言だ。聞いていて頭がいたくなるよ。平和ボケしたバカの言葉を聞き続けほど苦痛はないな」
と言いながらボスは拳銃を捨てて、壁のボタンを押すり。そこから一振りの日本刀が出てくる。
「東洋人が作った名刀だよ。なかなかの切れ味でね。気に入ってるんだ。侍で言うところ切り捨て、ごめんというやつだ」
会話が終わる。ボスは日本刀を鞘から引き抜き構える。男はナイフを構えた。
ボスはただ、そこに構えただけだ。間合いに入った瞬間を狙うために、こちらから無理に押し入ることはない。
男もまた、同じだった。敵の間合いを推し量っていく。勝負は長続きはしないだろう。銃声を聞いたボスの部下がやってくれば男は撤退せざる終えないのだから、二人はタイミングよく踏み出した。
ボスの日本刀が振り上げられ、男を狙う、男はナイフをボスの心臓に向かってつく
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