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「………んっ?」
途中でリューマが変な声を出した。
その声に反応して
私は契約書から目を外して
隣に座ってるリューマの方を見上げた。
顎に手を当てて入念に内容を確認していたリューマは
何か契約内容に異変を感じたらしい。
リューマの形のいい眉がぐっと寄せられて、
食い入るように契約書を見入っている。
「申し訳ないんですが、休暇の枠に特別休暇がないのですけど………」
リューマが契約書から吉野さんに視線を移して告げると吉野さんは「?」って顔して口を開いた。
「特別休暇はその時に応じて設けますが」
「育児休暇制度は確立してないんですね?」
「今の段階では………。リューマさんの仕事依頼の内容によって休暇は制限されてしまいますので………。えーと………リューマさんが育児をされるんですか?」
吉野さんは動揺しながら妻の私にチラチラ視線を向けた。
リューマ、今は勧誘できたんじゃなくて、本気の契約なのに、何言ってるの………?!
私も動揺しながらリューマを仰ぎ見る。
リューマは至って真剣な面持ちで、凛とした声で言った。
「ええ。 妻が近々妊娠する予定がありますので、イクメンとして妻を支えたいのです。
なので、育児休暇というより育児休業として数年は仕事を離れたいと思いますので、契約期間も3年というのはお約束できません。」
私はリューマの放った言葉に愕然とする。
妊娠する予定ー!?!?!?
「えーと、奥様は何か育児に専念できないお仕事されているんですか?」
「えーっと………そうゆう訳では………」
急に自分に振られて慌てふためく。
「育児は私と妻で一緒にやっていきたいので」
ピシャリとリューマは言い放つ。
えっ?! えー!?!?
「リューマさんは過去の芸歴も確立してますしスポンサー契約も数社望めるので、そうなると………」
「無理なのであれば、今回はなかった事で構いません。 メールでは私の希望は通達していたのですけど」
リューマが明らかに不愉快そうにする。
それを察した吉野さんは慌てて手を左右に振った。
「いや、それは困りますので、社長に報告して、契約内容を訂正させて頂きますでお時間頂けますか?」
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