遷都1700年に舞う花火

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「『安定性に欠ける傾向があります』……やって!!めっちゃウケる!!」 「…………。」 2週間後に控えた花火大会の打ち合わせを終えて自室へと戻ってみると、なぜかそこにいる見慣れすぎた幼馴染み。 我が物顔で俺の部屋に居座る奈都(ナツ)に白い眼差しを浴びせながら、溜め息を吐き出す。 「……お前、なんでここにおんねん。 っちゅーか、勝手に見んなや。」 奈都の手中の用紙に手を伸ばす……も、ひらりとかわされて。 軽く舌打ちする俺を、さも愉しげに嘲笑ってくる。 「大和(ヤマト)のおばちゃんが入っていいって言ったもん。それより、これNeoの試験結果やろ?よぉこんなんで合格できたな。」 俺の母親の許可は取ったと偉そうに豪語した後、数日前に届いたばかりのNeo花火技師資格取得証明書を眺めては、俺の成績にケチをつける奈都。 その聞き捨てならん発言に、売られた喧嘩を買いにいく。 「あんなぁ。合否は総合得点で評価されんねん。低評価のとこばっか見てんと、もうちょい上見たら、SSランクでクリアしてるとこあるやろが。」 人のアラ探しばかりしようとする奈都を牽制しつつ真横へ回り込むと、紙面上に指を滑らせて俺の得意分野へ誘導していく。
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