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俺が返事できたことに安堵したのか、ゆっくりと目尻の力を抜いていく奈都。
「もう大丈夫やろ?」と言っているような眼差しをこちらに向けると、俺に最後の檄を飛ばした。
「顔どろどろになっても可愛いやろが!!
わかったらシャンとして、最後までしっかり花火打ち上げっ!!」
奈都の声が届いた瞬間、驚くほどに脳の隅々から痛みという痛みが引いていく。
けど、Neoの存在はまだはっきりと色濃く感じていて。
脳内に止まったままなのに攻めぎ合うわけではなく、自分の細胞が、Neoを吸収していくような感覚。
互いに融合して、共存しているような……。
あー、これが。
完全にシンクロするってことなんか。
初めて見えた、Neoを使いこなすものだけが知りうる事実。
その感覚を体に覚え込ませて、再び両腕を大きく開く。
中断していた、ステージの再開。
今なら……どんなに実現不可能だと思えた花火も、自由自在に打ち上げられる気がした。
俺の動きに合わせるように、奏でられていく音響を背中に感じながら、すっと両目を真っ暗になった夜空へ向ける。
この無限に広がる空を駆ける光をイメージして、目を閉じる。
始めよう。
これが…………
俺がずっとやりたかった、本当のNeo花火――。
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