遷都1700年に舞う花火

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今までみたいに力技で繰り出していくんじゃなく、自分の体を巡るNeoのストリームを感じながら、イマジネーションを具現化する。 溢れるほどのエネルギーを噴出砲に注ぎ込んだ後、一気に吐き出す。 空高くどこまでも伸びていく一筋の白く輝く光のライン。 ゆっくりと風に運ばれていくあの雲に届く直前で止まると、俺とNeoが持てる全てのエネルギーをその一点に集結させていく。 月の光も街のネオンも、その全てが霞むほどに、真昼の太陽に匹敵するほどの眩い光の集合体が、上空に渦を巻く。 見てて、奈都。 これが俺の………… 叶えたかった夢のすべて――。 パンっと一瞬で弾ける巨大な光の玉。 この広々とした平城宮跡の上空を拠点として、絹のように白く輝く光の糸が放射線状に走っていく。 その閃光に終わりなんてなくて、神々しい光のドームが見渡す限りのパノラマの隅々までを覆い尽くしていく。 遥か昔、天平の時代。 ここ平城宮は、シルクロード東の終着点と呼ばれていた。 目が眩むほどに輝く上空の白い糸は、その時代の絹の道の再現に他ならない。 だけど今と昔でひとつだけ違うのは、ここが俺にとっての終着点ではないってこと。 俺にとって、平城宮跡のこの舞台が、Neo花火師としての出発点。 俺はここから、世界に駆ける。
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