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「大和っ!!」
初舞台をやりきって、興奮冷めやらぬ俺の元へ、パタパタと奈都が駆け寄ってくる。
俺が飲んでいたスポーツ飲料を強引に奪い取ると、ガブガブと飲み干していく。
「っ、おい!なんでお前が全部飲むねん!!俺のが喉乾いてんねんぞ!!」
「いいやん。どーせいっぱい差し入れもろてんねやろ?見てるだけでも喉乾くねん!大和めっちゃ心配さすし!!」
演技途中の暴走を指摘されて、返す言葉もなく黙る。
お前があの時、呼びかけてくれたおかげで、Neoの呪縛から復帰できたって礼を言ったら、こいつ喜ぶんかな?
そんなことを頭に浮かべながらも、結局言えないでいると、待つことを知らない奈都が、勝手に今日の反省会を始める。
「せやけど、やっぱ大和って安定性に欠けてるよな!私があっこで大声出さんかったら、今ごろ廃人なってたで?感謝してや!!」
両腰に手をついて、偉そうにふんぞり返る奈都。
その様子を苦笑ぎみに眺めて、静かに告げる。
「ほんなら、お前がずっと傍にいて、俺の安定剤になったらええやろ。」
言い終えて、自分の発した台詞の臭さに、口の中がめっちゃむず痒くなる。
もごもごと唇を動かしながら、奈都の反応を窺うと、さっきまでの勢いはどこ行ってんってくらいに耳を赤くして口を噤んでいて。
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