遷都1700年に舞う花火

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「……なんか言えや。」 黙られたら余計に恥ずかしいやんけ。 ますます全身を痒くしていると、まだ頬に赤みを残したままの奈都が、訝しげな視線を寄越してくる。 「なんやねん。安定剤って……。そんな言葉じゃわからん!はっきり言いや!!」 噛みつく勢いで追求されて、今度はこっちが石になる。 は、はっきり言えって……。 あ、あのな!! 「え、ええねんな?はっきり言って。」 「い、いいって言ってるやん!はよして!喉乾く!!」 よくわからん会話を一通り終えて、ごくりと喉を鳴らす。 なんやこれ? 花火の前より余裕で緊張すんねんけど。 「お、俺……」 言いながら尋常じゃないくらい顔が熱さを増していく。 あ、あかん。 茹で死ぬ……。 もうこうなったら勢いやと、息を吸ったタイミングで捲し立てる。 「――――っ、俺と結婚してくれ言うてんねや!! お前のこと……絶対武瑠より大事にしたる!!」 ぼっと発火する俺の顔。 マジでこれ、脳障害起こすレベル。 「あ、アホ!!……声でかいねん!!みんな見てるやん!!」 思いの外、大きくなりすぎた俺の音量に慌てる奈都。 ……いや、俺も慌ててるけどな!!
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