遷都1700年に舞う花火

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切りよくって……。 まだ振られてへんわ!! 心の中で猛抗議したところで、もう一人の渦中の人物の不在に気づく。 「そういや武瑠は?あいつ、どこいんの?」 もしやどっかから俺の失敗したプロポーズを見てるんちゃうかと青ざめて、もう本気で死にたくなる。 俺の心配をよそに、けろりと答える奈都。 「武瑠ちゃんなら仕事行ったで。いつまでも油売ってたら大和に追いつかれるって笑ってた。」 「…………。」 奈都の伝言に、ふーんと口許が緩む。 笑ってたってとこが、なんか上からでムカつくけど、一応は射程圏内に入ったってことか。 ライバルとして認められたことに眉が上がる。 「行くか。打ち上げ。」 気持ちを切り替えて、奈都に手を差し出す。 「なんでオーケーしてへんのに手ぇ繋ぐんよ?」 「保留やねんから、手ぇくらい繋ぐやろが。」 半ば強引に言い切って、奈都の手をとる。 ブーブー言いながらも、握り返してくる奈都に、「やっぱ武瑠より俺のが好きなんちゃうんか?」と心の声で問いかける。 けど、とりあえず今は、これでいい。 振り返ると見える、ついさっきまで俺が全力を出し尽くしていた舞台。 遷都1700年の記念すべきこの式典で、自分が歴史に残る花火を残せたことを誇りに思う。 まだ、俺の夢の道筋は始まったばかり。 これから、もっと高みを目指していく。 願わくは、ずっとこの手を繋いだまま。 奈都と一緒に――――。 おわり。
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