15人が本棚に入れています
本棚に追加
「で?その肝心の大技の評価はどこに書いたんの?」
「!!」
うっかり黙りこんでしまったところで、攻撃の手を緩めることを知らない奈都が、ぐいぐい攻めてくるから。
慌てて試験結果を奪い取った。
「もうええやろ?合格は合格や。
お前、もう帰れや。俺、これから構成考え直さなあかんねん。」
余計な突っ込みを入れられる前に、さっさと追い出すことに躍起になる俺。
ちなみに、試験の評価はEからSSまでの7段階で数値化され、個々の合格最低ラインはCでギリギリ。
総合得点が平均A以上となった場合のみ、晴れてNeo花火技師の資格を与えられる。
……で、俺の大技の評価はBで安定性はC。
うん……、まじで小者感が否めない。
「なぁ、構成考え直すて花火の?……打ち合わせで何か言われたん?」
俺が自分の技師としての評価にひとり凹んでいる間に、今度は花火大会の内容に首を突っ込んでくる奈都。
とりあえず話題が反れたことに胸を撫で下ろして、真面目に質問に答える。
「おー。……鹿、出してほしいらしいわ。」
「は?鹿?……って、あの鹿?
それって、奈良でやるから……やんな?
奈良やから鹿出せとか!!なんぼ安直やねん。」
俺と全く同意見の奈都の怒号に、乾いた笑いが漏れる。
「県外からの観光客喜ばすのに鹿がいいんやと。まぁ、大仏出せ!言われんかっただけマシやな。」
最初のコメントを投稿しよう!