灯火 ~熱い想いを抱いて~

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***  その瞬間の私は、1週間前の出来事を思い出していた。あれは通勤で使う、満員電車の中――発車して少ししてから、お尻に妙な違和感を感じた。何かで触られているような感じ。カバンの角が、偶然当っているのかもしれない。満員だから仕方ないよねと、現状に諦めたそのときだった。  いきなりその部分を、鷲づかみされたのだ。容赦なくムギュッと触られたことにより、何してくれてるんだと、怒りが沸々と湧き上がっていく。  自分が降りる駅まであと少し。呼吸を整えてから息を飲み込み、その手首をガッチリと逃がさない勢いで掴んでやった。電車の扉が開いたのを確認して、ソイツを引っ張り下ろしながら、大きな声で叫ぶ。
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