62人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
「この人、チカンですっ!」
正直、すごく怖かったけどそれよりも、このまま泣き寝入りをするのがイヤだったから、勇気をふり絞って叫んだ。
今、この瞬間にその事を思い出し、通り過ぎて行った男の肩を掴んで振り向かせると、大きく振りかぶって、その頬を叩いてやった。
フロアに響く音で、みんなが振り返り、唖然とする表情が目に入る。
「みっ、瑞穂ちゃんいきなり、何やって……」
「だって先輩、この人通りすがりに、私のお尻を触ったんですよ! 痴漢行為です!」
チカンした相手は、サラサラの金髪に近い茶色の髪に、キレイな青い色した瞳の持ち主。パッと見、そういう事をしそうじゃないけれど、電車にいたチカンだって、同じような人だった。
「バッ……違うわよ。瑞穂ちゃんのお尻にホコリがついてたから、私が掃ってあげたの!」
先輩がゲッという顔をして、叩かれた外国人を見る。
最初のコメントを投稿しよう!