灯火 ~熱い想いを抱いて~

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「この人、チカンですっ!」  正直、すごく怖かったけどそれよりも、このまま泣き寝入りをするのがイヤだったから、勇気をふり絞って叫んだ。  今、この瞬間にその事を思い出し、通り過ぎて行った男の肩を掴んで振り向かせると、大きく振りかぶって、その頬を叩いてやった。  フロアに響く音で、みんなが振り返り、唖然とする表情が目に入る。 「みっ、瑞穂ちゃんいきなり、何やって……」 「だって先輩、この人通りすがりに、私のお尻を触ったんですよ! 痴漢行為です!」  チカンした相手は、サラサラの金髪に近い茶色の髪に、キレイな青い色した瞳の持ち主。パッと見、そういう事をしそうじゃないけれど、電車にいたチカンだって、同じような人だった。 「バッ……違うわよ。瑞穂ちゃんのお尻にホコリがついてたから、私が掃ってあげたの!」  先輩がゲッという顔をして、叩かれた外国人を見る。
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