灯火 ~熱い想いを抱いて~

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 先輩の視線の先に映る外国人は、憮然とした表情を浮かべて、私を見下ろしてくれた。 「君たちは日本から来た、ホテルの研修生ですか?」  流暢な日本語を喋る外国人に驚きながら、頷く事しか出来ない。青い目を鋭く光らせたと思ったら、傍にある扉を顎で指しながら、 「私を叩いてくれたそこの君、話があるので、その中に入って待っていて下さい。すぐに戻りますから、逃げないでくださいね。私はこのホテルの代表取締りです」  腕時計で時間を確認しながら告げると、颯爽と去って行った外国人……いや、偉い人。 「……終わった。私のホテルマン人生……」  何でよりによってホテルの偉い人を、思い切り叩いちゃったんだろう。ついてないとしか言えない――。
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