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亨さんも俺と同じだとわかって、何だかすっきりした。
ていうか、ものすごく安心した。
自分だけがモヤモヤとしてたんじゃなかったんだ。
二十歳になるまでのあと1年と少しが果てしなく遠いと思うのは、亨さんも一緒だったんだ。
俺の一方的な片思いじゃないと、わかってはいたつもりだけれど、やっぱりこうやって確認できたのは嬉しい。
そう言えば、先輩には何ひとつ敵わないと思ってずっと落ち込んでいたけれど、今気がついたことがある。
俺にもひとつだけ、優子先輩に勝てるものがあった。
それは、亨さんを思う気持ち。
亨さんのことが好きだという気持ちだけは、誰にも負けない。
そのことは、大きな声で自信を持って言える。
俺は首を伸ばし、目を閉じてそっと亨さんにキスをした。
亨さんほどうまくはなくて、ただ唇が触れるだけ。
不器用だけど、思いの丈を目一杯乗せた精一杯の口づけを、亨さんは優しく受け止めてくれた。
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