259人が本棚に入れています
本棚に追加
もうしばらく亨さんを寝かせてあげようと、俺はコンビニに氷を買いに行くことにした。
ついでに何か食べるものも見繕って買ってこよう。
亨さんには優子先輩が作ってくれたお粥があるから、それに合わせる消化の良い物って言ったら何だろう。
茹で卵とか?
いや、それっておかずにならないか。
そもそも茹で卵くらいなら自分で作れるし。
亨さんが食べられそうなもので、コンビニで売ってるものって何があるかな。
考えながらマンションを出ると、正面玄関に田中が立っていた。
「は? 田中? 何でここに?」
田中は俺の顔を見ると、手を振って大股で近づいてきた。
その手には、見覚えのあるスマートフォンが握られている。
「これ。車の中に落ちてたぞ」
そうだった、すっかり忘れて。
もしかしたらプラネタリウムに落としてきたかも知れないから、後で電話してみようと思ってたんだった。
「マジか! サンキュ!」
さっき気づいて、届けようとちょうどたった今来たところだと言う。
ナイスタイミングだ、田中。
あともう少し早かったら、チャイムを鳴らされても俺は居留守を使ったかもしれない。
「おまえ、朝と顔つきが全然違うぞ」
「え、そうか?」
「何だよ、いいことあったんなら俺にも教えろよ」
最初のコメントを投稿しよう!