第1章

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むかしむかし、海の底に人魚の国がありました。 人魚達は15歳の誕生日を迎えると、初めて海の上の世界を見ることができます。 今年は一番末の人魚姫の15歳の誕生日。 人魚姫は初めて海の上の世界を見ました。 海の上の世界では、一隻の客船が火事で転覆しかけていました。 そこで助けた1人の男性に、人魚姫は恋に落ちました。 彼は一国の王子でした。 人魚姫は王子様と結ばれるために、海魔女さまに人間になりたいと願いました。 海魔女さまは美しい声を対価にして、人魚姫を人間にしてあげました。 人魚姫が人間になる条件として、王子様と結ばれなくてはいけませんでした。 もし結ばれなければ、人魚姫は泡になって消えてしまうというのです。 しかし王子様は隣国の王女様が自分を助けてくれたと思い込み、彼女との結婚を決めてしまいました。 声を失った人魚姫は助けたのは自分だと伝えられず、ついに明日結婚式が行われることになりました。 その前夜、人魚姫のもとに人魚姫のお姉様達がやってきました。 そして人魚姫に短剣を渡して言いました。 これで王子を刺しなさい。 そうすれば人魚の姿に戻れるわ。 人魚姫は王子様を刺すことができませんでした。 最愛の人を殺すことなんてできなかったのです。 ひとつ上のお姉様は魔女にお願いしました。 どうか人魚姫を助けてください 人魚姫は泡になって消えたのではなく、泡に囲まれて100年の眠りにつきました。 ーーーーこれは100年の眠りから目覚めた人魚の、淡い恋の物語ーーーー…
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