第十四章 歌って踊れる傭兵アイドル

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ーーー☆ーーー とりあえず広場から遠ざかるように移動した。と、傭兵アイドルが誰かを見つけて両手を振り出した。 「プチナじゃーん! おーい、アイドルですよー♪」 「はいはいプチナさんですよっと」 同じ傭兵の村の生き残りで『交尾実験』に使われていた少女だった。確か普段はフィナの妹のアリスと一緒なのだが、今は一人だった。 「あれ? ジークフリートさんも一緒だったんだ」 「まぁな」 「あ、そうそうっ。きちんと場を設けてコンサートを開くんでしょっ。具体的にはどうするの!?」 それで十分だった。 すべてを察したプチナから同情の視線を頂いた。 「あーっとだな、それは、なんだ。コンサートってのは、こう、色とりどりの演出で盛り上げないといけないからな。光とか花火とか、とにかく華やかなのを用意しねえといけねえわな、うんうん」 「じゃあそういう魔法を使える人に……」 「あーあー! あれだ、皆疲れているからなっ。そーゆー奴らに元気を与えるってのに他の奴らに頼るのは駄目だろっ」 「それもそうだねっ。あ、じゃあジークフリートに頼るのもやめたほうがいいかな?」 「いやいや! ほら、俺は、その、すげぇから!! なんせ十万の軍勢をやっつけた英雄(という嘘が広まってる)だからなっ。元気ありあまってるから遠慮なく頼っていいぞ!!」 「そう? ありがとっ」 「は、はは……」 とにかく準備に時間をかける。 どさくさに紛れて『技術』をつけさせる。 そうしてきちんとお披露目できるようになったらコンサートでもなんでもさせていいだろう。それで救われる人が出てくるはずだから。 (場を設ける準備に時間がかかるから、その間に歌と踊りの練習をしておいてくれ、とでも言えばいいはず。そのためには便利な魔法が使える奴に協力させちゃいけねえ) だから、だろうか。 その数十分後、ジンスケは山登りに出かけていた。
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