その能力『絶対絶命』につき

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「これは賭けだった。 15年前、携帯が無くとも生還した人がいると聞いた時、スマホや携帯は必要ないんじゃないかと思った。 だが、能力を発動するとスマホが連動するし、「能力」という名前のアプリまである。 俺はスマートフォン、即ち携帯が無ければ能力は起動できないと仮説を立てた。」 暴乱の王は飛騨を睨みつける。 「あっていて良かった。」 武崎はもう能力を発動できない。 それはつまり… 俺たちは勝ったのだ! 勝利の余韻。 開放感が心を包む。 これでもう、奴はこれ以上罪なき命を奪えない。 これでもう、仲間をこれ以上失わずに済む。 それが、なんと嬉しいことか! 突如体を襲う極度の疲労と眩暈。 この技は段違いに頭を使うらしい。 ここぞという時にしか使えないようだ。 振動するスマートフォン。 ポケットを探り取り出すと、なぜか既に画面が明るくなっている。 『今の技を『Final Function』に追加しますか?』 味気のない文字の羅列。 下に、はいといいえの選択肢が映っていた。 よく意味が分からないが、承認するに越したことはないだろう。 考えなしに『はい』に指を重ねる。 すると画面は切り替わり、 『新しくFinal Functionを追加しました』 と表示された。
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