1111人が本棚に入れています
本棚に追加
/1284ページ
「だめやないの、ベクトルで人なんか刺したら。」
「いいだろ、1人くらい。神田もそう言ってたし。」
人の声がどこからか聞こえる。
周囲を見渡す。しかし他に誰もいない。
上か。
天を仰ぐと双眸に収まる二つの影。
天井近くの窓のところに二人の少年が立っている。
1人は背が低く、1人は少し高め。
二人共自分達と似たような制服を着ていたが、見慣れない生徒だった。
「板丸、お前、何しに来た!」
飛騨が大声で叫ぶ。
その顔には動揺が表れている。
どうやら顔見知りのようだ。
「あら、飛騨やないの。久しぶりやなぁ。」
背の高い方の少年が笑顔で返した。
柔らかい口調だが、悪意が垣間見える。
「誰なのよ、あいつら。」
咲田が聞くと、飛騨は静かに答えた。
「武島東の奴らだよ、隣の高校の…」
最初のコメントを投稿しよう!