その能力『絶対絶命』につき

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「だめやないの、ベクトルで人なんか刺したら。」 「いいだろ、1人くらい。神田もそう言ってたし。」 人の声がどこからか聞こえる。 周囲を見渡す。しかし他に誰もいない。 上か。 天を仰ぐと双眸に収まる二つの影。 天井近くの窓のところに二人の少年が立っている。 1人は背が低く、1人は少し高め。 二人共自分達と似たような制服を着ていたが、見慣れない生徒だった。 「板丸、お前、何しに来た!」 飛騨が大声で叫ぶ。 その顔には動揺が表れている。 どうやら顔見知りのようだ。 「あら、飛騨やないの。久しぶりやなぁ。」 背の高い方の少年が笑顔で返した。 柔らかい口調だが、悪意が垣間見える。 「誰なのよ、あいつら。」 咲田が聞くと、飛騨は静かに答えた。 「武島東の奴らだよ、隣の高校の…」
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