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気づくと無意識に返信を打ち込んでいた。
人間、相当退屈だと、こんなことにすら時間を潰してしまうのだな、と我ながら思う。
素直に住所氏名電話番号を入力していく。
いつものことだからお手の物だ。
印象に残っている言葉、か。
そんなもの入力して何になるのだろうか。
流行語を調べるわけでもあるまいし。
悩んでも仕方ないので、画面に「絆」とタイプした。
小さい頃から漫画やアニメをよく見ていたからか、パッと思いついた言葉がこれだったのだ。
何かと少年向けのそれらには明らかに絆を大切にした作品が多い。
主人公達は口を揃えて絆絆と繰り返す。
ある意味洗脳みたいなものかもしれないが、それが良く印象に残っているのだ。
本当の絆なんて実際見たこともないけどね。
特に何も考えることなく送信ボタンを押した。
画面外へ消える紙飛行機。
どうやら送信できたようだ。
ひと段落ついたところでスマートフォンを閉じようとしたその時だった。
手に伝わる振動。
画面をつけるとメールに通知が入っている。
今度は誰だ?
画面を見ると、同じアドレスだった。
件名にはエラーの文字。
開くとこんなことが書いてあった。
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