1111人が本棚に入れています
本棚に追加
/1284ページ
ー15年前ー
「そっちに行ったぞ!
奴を逃がしちゃならねぇ!」
薄暗い叢を慌ただしく走る足跡が一つ。
それを追いかけるは、複数の雑踏。
時は夕刻。
陽は傾き、今にも山際に触れようとしている。
逃避。
白い長髪をたなびかせ、肌白の少年は逃げていた。
対して、追いかけるは7人の少年少女。
彼らは知っているのだ。
ここで彼を倒す事が出来なければ、即ち今度狙われるのは自分達だと言うことを。あと数刻も経てば、辺りは漆黒が支配するだろう。
そうなれば、追跡は不可能に等しい。
逆に、逃げる彼にとっては、奇襲を掛ける絶好の機会となる。
生存競争、と言うべきか。
彼らには、どうしても生き残らねばならない、いや、彼を殺さねばらならない理由があった。
「迫波の追跡閃!!」
一人の少年が技の名を叫ぶ。
すると彼の背後から、煌めく熱線が、無数に発射された。
直線的に近づいていく光の束。
白髪の少年は、舌打ちをする。
あれは、追尾弾。
避け続ければ、いつかは奴らに追い込まれてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!